2009年 02月 21日
「ゆきなり」ということば (7)
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次の二つの例も『日本国語大辞典』(第二版)に引用されたものです。



行きなりに見て居る秋の螢かな    冬李

寛政五年(1793)に京都で刊行された『新類題発句集』に収める句。秋の螢が飛ぶに任せてそれを眺めている様子を詠んだもの。この「行きなり」も原義の《行くに任せる》の意で用いられています。ところが、次の例ではどうでしょうか。

いしゃどの、ねをき(=寝起き)のうろたへ眼で、行(ユキ)なりに下女の手を取て、みゃくをみる。

こちらは笑い話を集めた『今歳咄(ことしばなし)』(1773)に収める「急病」と題する小咄。書名の「ことしばなし」は「おとしばなし」のもじりですね。

ここに用いられた「行きなりに」は、そのまま現代語の「いきなり」に置き換えることができます。ただしこちらは「に」を伴って用いられているところに相違がありますが、この頃になると「ゆきなり」はすでに現代語の「いきなり」と同じ意味に用いられるようになっていたことが知られます。 (この項続く)

二枚目の画像が示すように、今朝は寒さの戻りで、久しぶりに霜柱を見ました。それでも日差しには力がこもってきているのが感じられます。
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 *撮影機材:RICOH GR-DIGITALⅡ 28mm f2.4
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-02-21 08:43 | 言語・文化雑考


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