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2009年 03月 12日
「散々たる」という言い方 (3)
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「惨憺たる」から生まれた「散々たる」が一人歩きをするようになると、やがて原義の《見るに耐えないほどひどい様子》とは異なる意味までも備えるに至ります。



あるブログには、カップラーメンなどが載ってワカメ状態になった机の上を写した画像に「散々たる机上」という見出しが添えられていました。

次の諸例にもこれと同様の用法がうかがわれます。

・食後のラックや机、床の状態は散々たるものです。

・一日が終わることになると散々たる光景になるのは、どうしてだろう? あちこちに散らばった消しゴムのカス、何故か隣の机に転がっている愛用のペン、(下略)

・家の中は散々たる状態、床にはあらゆるものが散乱し、家具という家具はすべて倒れ、(下略)


これらの使用例では、「散々たる」が《散らかしっぱなしの状態》を言うのに用いられています。「散々」の漢字表記から《散らかす・散乱する》の意味を引き出して造られた用法であることは一見して明らかです。今後はこのような用法も広がっていくことが予想されます。 (この項続く)

今朝は久しぶりの快晴とはいえ、春は名のみの風の寒さや、冷気はことのほか厳しい。1枚目の画像には黄水仙のそばに霜柱が写っています。
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  *撮影機材:RICOH GR-DIGITALⅡ 28mm f2.4

by YOSHIO_HAYASHI | 2009-03-12 08:18 | 言語・文化雑考


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