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2009年 04月 12日
カドイワシ
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前項と同じ撮影者の佐藤氏から、メールに添えて送られて来た、北海道の春ニシンの画像です。昨夜の食卓に上ったものだそうで、腹に卵を持っています。美味そうですね。



タイトルのカドイワシというのはニシンの別名で、単にカドとも呼ばれます。東北一帯に分布する方言で、わが郷里のいわき市でも子供のころに耳にした、なつかしい呼び名です。ちなみに、宮城・山形では、生のものをカドと呼び、干した身欠きのものをニシンと呼んで区別するそうです。

ところで上の画像にも見える、ニシンが腹に持つ卵はカズノコと呼ばれます。漢字では「数の子」と書かれるので、《数多くある卵》の意を表すもののように思われていますが、数が多いのはなにもニシンの卵とは限りません。この漢字表記は、ある事情によって後から生まれたものです。

f0073935_855359.jpgカズノコは古くはカドノコと呼ばれました。左の画像は、室町期から江戸期にかけて作成されたイロハ分類体辞書『節用集』の一種、『易林本節用集』の記事の一部。で始まる言葉を並べた部の中の、生き物の名前を集めた「気形門」に収めるものです。

カドノコとは《カドの子(卵)》、つまり《小さいニシン》あるいは《ニシンの卵》ということです。そのカドがニシンを指すものであることが忘れ去られるとともに、後者の意を表すカドノコがカズノコに変身したものと考えることができます。

この語形変化は、現在も一般に受け取られているように、その名のいわれを《数の子》の意と解する"合理化"がはたらいた結果によるものと思われます。
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-04-12 07:46 | 言語・文化雑考


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