2009年 04月 18日
カズノコ
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本日の画像は、東京谷中周辺の街歩きの折に撮影したもの。燈台やガラス戸も古風ならば、「ブリキ店」の漢字表記も古風で面白い。冒頭画像、しばらくはこの街歩きバージョンで参ります。



4月12日「カドイワシ」の項で、カズノコという語形はカドノコから転じたものであることについて触れました。これについていささかの付け加えをしておきます。
   ①f0073935_7501424.jpg        ②    f0073935_7505717.jpg   ③f0073935_7515350.jpg        ④f0073935_752583.jpg
上の画像群は、手元にある『節用集』写真複製本諸種の中から拾い出したもの。カドノコ・カズノコの漢字表記とそれに施された読み仮名で、①天正十八年本、②正宗文庫本、③枳園(きえん)本、④饅頭屋本、それぞれの古本節用集に収めるものです。

諸本の年代は、①が1590年に刊行されたものであること以外は不明ですが、いずれも室町末期ごろまでに書写されたものと推定されています。

すでに上記の項で触れたように、カドノコが古い語形で、カズノコはこれから転じたものと考えられます。前項に掲げた易林本節用集に出るものを含めて、カドノコの段階では漢字表記に"ゆれ"があって一定していなかったのが、後に「数子」の表記に固定して行く、その変遷の様子がわずかこれだけの資料からもうかがうことができます。

そうすると、前項のコメント欄にちがやまるさんが指摘された、大阪中之島図書館所蔵『節用集』の「数子」に「カドノコ」と記されていることが改めて注意されます。

新しい漢字表記にあたる「数子」の付訓として、古い語形の「カドノコ」が用いられている、そういう過渡的な姿のうかがわれる点において、この写本は注意すべき資料であると言うことができます。

*撮影機材:RICOH GR-DIGITALⅡ 28mm f2.4
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-04-18 11:27 | 言語・文化雑考


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