2009年 04月 19日
カズノコ(続)
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カズノコに関するレポートをもう少し続けます。



  ⑤f0073935_5381527.jpg       ⑥f0073935_5384294.jpg       ⑦f0073935_5385547.jpg    左の画像は、昨日と同じく『節用集』諸本の写真複製本からのコピーで、⑤⑥は弘治二年本、⑦は永禄二年本によるもの。両本は、室町末期の1556年および1559年に書写されたことから、それぞれの年号を書名としています。三者の付訓には、濁点の有無は別として、いずれにも古い語形のカドノコがあてられています。

一方、その漢字表記について見れば、⑥⑦に「数子」とあることが注意されます。これは昨日の項に出た大阪中之島図書館所蔵本と同じく、新しい漢字表記「数子」の付訓に古い語形のカドノコが用いられた、ひとつの過渡的な姿を示すものです。

さらに⑤と⑥については、同じ文献の中に二種の漢字表記が共存している点も注意されます。これによれば、この写本が書写された1556年のころにはすでに、カドノコの古い一字表記とは別に、新しい漢字表記の「数子」も存在していたことが知られます。このような素地があれば、カドノコからカズノコへの語形変化は容易に起きたことでしょう。

そのような変化の年代を知る上で、これらの文献は一つの貴重な資料となるものです。

  *撮影機材:RICOH GR-DIGITALⅡ 28mm f2.4
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-04-19 05:42 | 言語・文化雑考


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