2009年 05月 31日
ジュウヤク(十薬) -1-
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  十薬や四つの花びらよごれざる     池内友次郎




一般にはドクダミの名で呼ばれるこの植物には、ジュウヤクの異名があります。漢字表記には「十薬」が用いられ、この草に十種の薬効があるところからこの名が出たとされています。

この植物名が文献に出る例としては、キリシタン宣教師たちの編んだ『日葡辞書』(1603年刊)に載る次の記事が比較的早い時期のものにあたります。

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『邦訳日葡辞書』(岩波書店)では、これに次のような訳を与えています。

 ヂュゥヤク. この名で呼ばれる草.

この辞書が出版された当時、ヂ と ジ にはまだ発音上の区別があり、この辞書ではそれを異なるローマ字綴り gi と ji によって表し分けています。

この草の名が初めから「十薬」であったならば、この語の頭文字には、「十(ジュウ)」の頭音を表す I を用いた*はずです。それがヂにあたる G で表されている点には疑問が残ります。  (この項続く)
 *(注) キリシタンのローマ字綴りでは、j の大文字は i と同じ I になります。 

*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-05-31 07:14 | 言語・文化雑考


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