2009年 06月 03日
ジュウヤク(十薬) -2-
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前回示したように、『日葡辞書』の見出しには、ドクダミの異名の「ュウヤク」が「ュウヤク」に相当するローマ字で綴られていました。



この点について、『邦訳日葡辞書』(岩波書店)にはその邦訳の後に、ジとすべきところをヂと誤ったものかとする訳者注が添えられています。

当時の標準音では、ジとヂは異なる音として区別されるべきもので、キリシタンたちもそのような規範に従って両者を異なるローマ字綴りで表し分けていました。しかし実際には、例えば Gidanda.(ヂダンダ)とすべき語を Iidanda.(ジダンダ)の綴りで表したような例も少数ながら存在します。上記の『邦訳日葡辞書』の注記は、本例についてもそのような混乱があったことを想定したものです。

これに対して、『日葡辞書』の「ヂュウヤク」は混乱例ではなく、本来の語形にあたるものと見ることもできなくはありません。ただしこの立場に従うならば、この草の名前は「十薬(ジュウヤク)」から出たと解するのではなく、例えば「重薬(ヂュウヤク)」のように「ヂ」の音を持つ漢字が語頭にくる熟語をその語源に想定しなければなりません。 (この項続く)
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  *撮影機材:RICOH GR-DIGITALⅡ 28mm f2.4
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-06-03 05:52 | 言語・文化雑考


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