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2009年 08月 02日
「み」あれこれ (7)
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「味」があてられない「み」のうち、「深み」「高み」「明るみ」などに用いられる「み」は、《そのような状態にある場所》を表すはたらきがあります。



これらの例のうち、「明るみ」は本来《あかるい場所・方向》の意を表す語ですが、「脱税の実態が明るみに出た」などの例に見るように、その用法をひろげて《おもてだった場所》を表すのにも用いられます。

「高み」についても別の問題があります。

「高み」もまた、本来は単に《高い場所》の意を表すものだったのが、後に《下を見おろす高い場所/高い場所から下をみおろすこと》の意に解されて、これを「高」と表記する例が見られるようになります。さきに引用した『誹風柳多留』にはすでに次の例があります。

 高見から御意を伺ふ松作り   英雅  [八七篇・文政八年(1825)]

これに類する例は、特に成句の「高みの見物」において多く見られ、現在でも「高の見物」と表記されることが少なくありません。しかし、これについても『誹風柳多留』の次の例が参考になります。

 高みでの見物茶人おちど也       [一九篇・天明四年(1784)]

この例の「高み」は、場所を表す助詞の「で」がこれを受けていることから、《高い場所》の意に用いられたものであることが明らかです。 (この項続く)

*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)

by YOSHIO_HAYASHI | 2009-08-02 13:01 | 言語・文化雑考


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