2009年 09月 24日
いわきの方言 -ブンズいろ(3)-
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上に掲げるのは、本項の題材にちなんで禿山氏から送られてきた、札幌円山公園のヤマブドウの画像です。氏のご厚意に感謝します。



ブンズいろ」「ブンドいろ」の周辺には、さらに「ブンゾいろ」「ブッスいろ」の異語形も存在します。

ネット情報「昔の茨城弁集」では、北茨城市でヤマブドウを「ブンゾー」あるいは「ヤマブンゾー」と呼ぶことに関連して、新潟県柏崎市で《ブドウ色》の意に用いられる「ブンゾいろ」の例を挙げています。

同じく「秋田弁の散歩道」には、顔色の悪さや、水に長いこと浸かって唇が黒みを帯びた紫色を指すのに「ブッスいろ」を用いることが報告されています。さらに「福島放送」の聴取者のページにも、山形県最上地方でこの語が用いられるという報告があります。

ところで、この「ブッスいろ」の系列には、その短縮形に相当する「ブスいろ」もあります。北海道(<「道語辞典」)や佐渡(<「佐渡祭譚」)からのネット情報にそのことが記されています。

これについては、すでに本項(1)のコメント欄にちがや丸さんが紹介されたように、「ブス」をトリカブトを指す方言の「ブス(付子)」に付会して、この植物の花の色から出た色名とする解釈があります。

しかしこれは本末を転倒したもので、いわゆる"民俗語源解"の域を出ない見解のように思われます。あるいはこの語形の生成自体にも、そのような語源解がはたらいていたのかもしれません。

また、意義の面から見ても、本来黒ずんだ紫色を表すはずの色名の語源を、明るい紫色のトリカブトの花の色に求めるのは、筋違いのそしりをまぬかれません。

これまで取り上げてきた、色名を表す「ブンド・ブンゾ・ブンズ・ブッス・ブス」は、いずれも類縁関係にある語で、本来はヤマブドウを指す名称から出たものと見るのが適切でしょう。 (この項続く)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-09-24 06:18 | 言語・文化雑考


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