2009年 10月 15日
中世の謎から -じゃうり(2)-
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f0073935_718518.jpg左の画像は、昨日紹介した『なぞだて』の影印写真版コピーです(天理図書館善本叢書『なぞ 狂歌 咄の本』による)。ここに見るように、原文には濁点が施されていません。



この謎の問題に出る「ひかこと」を、昨日の翻字では「ひがごと」としましたが、下に示す『日葡辞書』(邦訳本による)の見出しには Figa coto. とあるので、当時は非連濁形の「ひがこと」を用いていたと見るのがよいでしょう。
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その後に「すなわち,Murina coto. 」とあるのは、見出し語をこれと同義の通用的表現に言い換えたものです。ここに用いられた Muri.(無理)は、別項の見出しにも掲げられ、そこには「道理の無いこと」という語釈が施されています。

したがって、この謎の問題「よせ手のひがこと」は、《城に攻め寄せる側に道理がないこと》の意に解することができます。そうすると、道理は城を守る側にあり、ということになるので、答の「じやうり」は/城・理/、すなわち《城に理がある》の意を込めたものと解されます。

ただしこの /城・理/ は、答の「じやうり」を掛詞として二つの意味を持たせた、その裏の意味にあたるものです。それでは、表の意味としての「じやうり」は何を指すことになるでしょうか。 (この項続く)

雨が上がって地上は秋冷の度がいちだんと増してきました。今朝の散歩道は手袋が欲しいほどの気温でした。
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*撮影機材:PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-10-15 04:50 | 言語・文化雑考


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