2009年 10月 16日
中世の謎から -じゃうり(3)-
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f0073935_6583944.jpg左の画像は、貞門の俳人安原貞室が編んだ『かたこと』(1650年刊)の影印写真版のコピーです(近代語研究会編『近代語研究』第三集による)。この文献は、江戸初期の京都地方で使用されていた「かたこと(訛語・俗語)」を取り上げてそのよしあしを論じたものですが、その中にこの一節があり、次のように記されています。



一 草履(ざうり)を  じやうり は いやしきといふ人あれども 少もくるしからず。金剛(こんがう)といふもよし。  (下略)

ここには問題の「じやうり」が取り上げられています。著者は、「草履(ざうり)」を「じゃうり」と言うのは卑俗な感じがすると言う人もいるが、これは少しも耳障りなことばではない、と述べています。

江戸初期にはすでにこの「じゃうり」を俗語ととらえる意識が生まれていたことを示す記述ですが、貞室が弁護するように、一時代前までは、このことばはれっきとした通用語としての位置を占めていました。

昨日引用した『日葡辞書』の「ザゥリ」(以下、ローマ字表記は片仮名で示す)の項には次のように記されています。
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ここに「一般にはジャウリと言う」とある点が注意されます。当時はザウリよりもジャウリの方が普通の語形であったことを示すものです。

さらにこの辞書の別項には、これに対応して「ジャウリ」の見出しも立てられています。
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なぞだて』に謎の答として示されていた「しやうり」とは「草履」のことで、それに/城・理/の意味が掛けられていたというわけです。 (この項続く)
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 *撮影機材:PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-10-16 07:02 | 言語・文化雑考


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