2009年 10月 18日
中世の謎から -じゃうり(5)-
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この項の(3)で見たように、『日葡辞書』では「じやうり」の"ジャウ"を表すローマ字綴りの母音が、"o" の上に長音記号の"v"の付いた形で示されていました。このような"o"の上に施される長音記号には、これとは逆に下向きの"v"の形をしたものもあります。中世日本語の研究分野では、この上向きの長音記号の付いた "o" を「開長音」、下向きの方を「合長音」と呼び分けます。



例えば次の画像に示された二つの見出しでは、これら二種の長音符が対照的に使い分けられています。
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現代語では「成仏」も「乗物」の音読みも、ともにジョーブツですが、当時はこの二語の発音に区別があり、それは仮名表記の「じやうぶつ」と「じようぶつ」の違いに対応していました。

なお両者の発音は、合長音は現代語のオーとほぼ同じで、開長音はオーよりもやや口を広めに開くものであったと考えられています。

しかし江戸期に入ると、この発音上の区別は失われ、仮名では「じやうり」と書かれる「草履」もまた、口頭ではジョーリと発音されるようになりました。 (この項続く)

寒くなるにつれて花の姿が乏しくなってきたので、今朝はいつもと異なる道を選びました。後の3枚は、中央線沿いに残された雑木林の一角にある「姿見の池」に浮かぶ水鳥の写真。最後のはその交尾中のスナップです。

※ 別室の塔婆守の写真雑記帳を更新しました。
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  *撮影機材:PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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by YOSHIO_HAYASHI | 2009-10-18 05:18 | 言語・文化雑考


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