2010年 02月 21日
「つぶやく」ということば(3)
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前回まで取り上げた「ささやく」「かかやく」と同じく、「つぶやく」もまたその前部要素「つぶ」はオノマトペであり、これに接尾語「やく」が結び付いたものと考えるのがよいでしょう。

ただしそのためには、「つぶ」の形を取る擬態語が存在することを確認する必要があります。

「つぶ」の派生語には、その反復形にあたる「つぶつぶと」という副詞があります。『時代別国語大辞典 室町時代編』(三省堂)によれば、この語は中世に次のような意味に用いられました。

 ① 粒状のものが、いくつも集まっているさま。
 ② 物がいくつにも分節されるさま。
 ③ 事が、とぎれとぎれに、続けられていくさま。
 ④ 口の中ではっきりしない口調でとぎれとぎれに何かを言い続けるさま。
 ⑤ 胸がどきどきするさま。


この中の④が「つぶやく」の「つぶ」に通じるもの。上記の辞書は次の例を引用しています。

 豆ハ カマノ中ニニラレテ、カナシガツテ ツブツブト ナクヤウニ ニユルゾ(玉塵 四十七)

「つぶ」が上記④の意味を表す擬態語であることは、このような例によって裏付けられます。

ところで、現代語ではこういう意味を表すオノマトペとして、「ぶつぶつとつぶやく」のように「つぶつぶと」ではなしに「ぶつぶつと」の形を用いますね。この背後にはどんな事情が隠れているのでしょうか。 (この項続く)

昨日は好天に誘われて久しぶりに井の頭公園に足を運び、ついでにこれまで入ったことのなかった自然文化園の中にある水鳥や水生動物の飼育館を見学してきました。
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*撮影機材:R-D1+SUPER ROKKOR45mm f2.8
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by YOSHIO_HAYASHI | 2010-02-21 06:37 | 言語・文化雑考


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