2010年 03月 19日
シタダミからフゲシへ -ツィッターの話題から- (5)
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三音節以上の地名を漢字二字で表すには、「尾張(をはり)」や「大隅(おほすみ)」などのように、漢字の訓読みを利用するのも一つの行き方ですが、これとは別に漢字の字音をさまざまに転用する方法も採用されています。

例えば「信濃」という国名の表記には、古くから口承されてきた /シナノ/ という"声"を /シナ/ と /ノ/ の二要素に分析した後、/シナ/ には「信」の字音 sin に母音 a を添える方式が、また/ノ/ に対しては、これとは逆に「濃」の字音 nou の韻尾 u を除く方式が採用されています。

なおここで銘記すべきは、/シナノ/ という音声が先行のものであって、「信濃」という文字は後から便宜的に宛てられたものであるという点です。/シナノ/がどういう語義を持つ地名であるかについては不明というほかありませんが、少なくとも「信」や「濃」という漢字にはそれを解く手がかりは含まれていない、ということだけは確かです。そしてこのことは、字音転用による地名表記全般について言えることです。

「上野国(かうづけのくに)」にはかつて「男信(なましな)」という郷名がありました。この /ナマシナ/ もまた /ナマ/ に「男」を、 /シナ/ に「信」をそれぞれ宛てることによって案出された字音による地名表記です。 /シナ/ に「信」を宛てたのは信濃の場合と同じですが/ナマ/ を「男」によって表したのは、この字音が当時 nan ではなく、中国原音に近い nam の形で受容されていたことを示すものです。

現代日本語には、朝鮮語に見られるようなこうした字音韻尾 -m と -n の区別はありません。しかし、古代日本語ではこの区別が学習的に守られていた、これはそのことを示す一例にあたるものです。 (この項続く)

コブシが満開の時期を迎えました。大樹を振り仰ぎながら、今年も命長らえて花の盛りに出会えた仕合わせをしみじみと味わいました。

今朝はもう一つの白い命にも。城尾ファミリーの一員に、ほんとに久しぶりに遭遇しました。君も無事に冬を越せてよかったね。

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*撮影機材:PENTAX K-7 +SIGMA17-70mm f2.8-4.5 DC MACRO
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by YOSHIO_HAYASHI | 2010-03-19 07:14 | 言語・文化雑考


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