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2006年 05月 10日
地口行燈 #3-1
4月28日に吊した、北千住の地口行燈が雨ざらしになってました。
「みぢゃげど」が片づいたので、これを取り込んで再掲します。

地口行燈 #3-1_f0073935_645216.jpgここには次のように書かれています。

   しそをばらにしている

2文字目は「そ」の音仮名「楚」、4文字目は「は」の訓仮名「者」のくずし字。「者」を「は」と読むのは、漢文訓読で助字の「者」の読みに助詞の「は」をあてたことによるもの。たとえば『中庸』の「仁人也」は、「じんひとなり」と訓読しますね。

具合がいいことに、この二つの異体仮名は現在でも蕎麦屋の看板に使われています。ホレ、このとおり。
地口行燈 #3-1_f0073935_783810.jpg

こちらは「生そば」ですね。そういえば、いつだったかキクズミさんからこれについて質問を受けたことがありました。



ついでに、この「生そば」はナマソバではなくキソバと読みましょう。
余談ながら、当今はナマアシなんぞという新語を耳にします。これを聞くと、私などはついナマクビを連想して、足が一本ごろりところがっている不気味な場面を思い浮かべてしまいます・・・^^; 
だからと言って、べつに、こっちもキアシにしろと言いたいわけではありません。だいいち、それだと今度は《黄足》のことかと思って、ますます収拾がつかなくなっちまふ。

ところで、この行燈も看板も、「は」に濁点が付いていますが、これは本来のものではありません。

そもそも仮名は清濁を区別しない文字として作られたものですから、本来は「は」だけでハ・バ(さらにはパも)のどの音も表すことができました。濁点(や半濁点)を必ず付けるようになるのは、後世になってからのことです。

さて、ここで問題。
この地口の表の意味と、その裏にある元句はなんでしょうか?

答えはコメント欄にど~ぞ。
行燈の絵は、意味するところが分かりにくいので、あまり参考にならないかも知れません。
(この項続く)

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-05-10 06:46 | 言語・文化雑考


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