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2006年 08月 19日
地口行燈 #7-3
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「高砂や」の地口「かかさまや」には、さらに別の語学的問題も含まれています。



母親を「かかさま」「おかかさま」と呼んだ例は、古くは室町末期から江戸初期のころに成立した狂言台本などの文献に見ることができます。この呼び方は、初めは母に対する敬称として、京阪地方の中流階級以上の層に用いられていました。

それが江戸期に入ると次第に敬意の度合いが低くなり、親しみを込めた呼び方として庶民階級にも用いられるようになっていきます。

またその形も、「かかさん」「おかかさん」「おかあさん」、あるいは「おっかさん」「おっかぁ」などの異語形が生まれるにつれて、本来の「かかさま」「おかかさま」は日常語の世界からは姿を消していきます。

ところがこの地口には、そのような歴史的には古い形と見られる「かかさま」が用いられています。

この点について、さらに掘り下げてみる必要がありそうです。

*撮影機材:R-D1+COLOR-HELIAR75mm(MC) f2.5

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-08-19 12:37 | 言語・文化雑考


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