2006年 09月 04日
アニメ漫画の世界でも、「サザエさん」に追っかけられているのは魚をくわえたドラネコだし、「ドラえもん」のドラも、ドラ焼きが好きだからそう名付けられたのではなくて、ドラネコから取ったということです。 ところで日本語には、日本語学の分野で「濁音減価意識」と名付ける、次のような言語現象が見られます。 料理の下ごしらえで、小麦粉に牛乳などの液体を入れて混ぜ合わせるときに、よくかき回さないとできてしまう小さな固まりをダマと呼びます。これはタマ(玉)の語頭を濁音に換えることによって生まれた語形とされています。 最近では「認知症」と呼ばれるようになったその症状を、俗語ではボケと称します。これは動詞ボケルの名詞形にあたるものですが、そのボケルには別にホケルの語形もあり、さらにそこから転じたホウケルの形も存在します。《遊びに夢中になる》意を表すアソビホウケルは、この語形を現代に伝えるものです。 ボケという語形は、このホケルの名詞形ホケが濁音化して生まれたものと考えられます。 上の二つの例が示すように、本来は清音であった語頭音を濁音に変えることにより、その語義にマイナスの価値を加えたり、あるいはそれを強めたりする効果を生むことが確認されます。このような現象を「濁音減価意識」と呼びます。 ノラネコのノに対する"濁音"を表す仮名文字はありませんが、仮に「ノ゛」と書いて、これはどう読みますか?とたずねたら、多くの人は[ド]と答えるはずです。音声の面では、[ノ]と[ド]の間に[ソ]と[ゾ]と同じような関係のあることが、直感的に認識されるからです。 こういう理由で、ドラネコもまた、ノラネコにマイナスの価値が加わった語形と考えることができます。 二枚目以下は、昨日近くの熊野神社の秋祭があり、それを撮った写真です。御輿が練り歩くには絶好の秋晴れでした。 *撮影機材:R-D1+Travenar90m/m f2.8(1枚目)/SUMMARON35mm(MLmount) f2.8(2枚目以降)
by YOSHIO_HAYASHI
| 2006-09-04 07:05
| 言語・文化雑考
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