2006年 10月 17日
昨夜のできごと #3
f0073935_945518.jpg
それ(→#2)をきっかけにその外国青年との四方山話が始まります。何かの話から、話題が焼酎に転じました。私が数日前に近くのコンビニで手に入れた、種子島産の芋焼酎がことのほか美味かった、という話をすると、種子島? どこですか、と青年が尋ねます。



それはかくかくの場所にあり、しかじかの漢字をあてる。そこは日本の歴史を変える要因ともなった鉄砲をポルトガル人が伝来したことで名高い島である、などと答えると、実は私は1/8ポルトガル人です、と妙なことを言います。

え?と聞き返すと、父のおじいさんがポルトガル人だからそうなります、という答えが返ってきました。なるほど、確かに。

彼はさらに、私の差し出した小さなメモ帳に本名を書いてくれました。愛称はマット。達者な片仮名で書かれたサードネームは、トランクァダとあります。あまり見かけないけど、ポルトガルにはよくある名前だとか。彼はこうして家の歴史を受け継いでいるわけです。

彼の曾祖父にあたる方は、ポルトガル領マディラ島からハワイに渡った御仁で、なんと、ウクレレの創始者だそうな。話は意外な展開を見せました。ちなみにマディラ島と言えば、その名を冠した酒がありますね。歌劇「カルメン」の、ヒロインが酒場で歌う独唱の中にもこの酒の名が出てきたはずです。

焼酎の話が出たのをそばで聞いていた店主が、これを試してご覧なさいと言って、枯淡な色合いの壷に入った焼酎を脚の長いグラスに注いでくれました。昨日の写真にあったのがそれです。

その一件は名前を「夢想仙薬」といい、スペイン産のシェリー樽で5年以上貯蔵させたものだとか。まろやかで静かな味は、とても焼酎とは思えません。それを青年と二人で代わる代わる舐め合い、すっかり陶然とした気分になりました。

そこでふと思い立ち、ギネスの後はジントニックを作ってもらうことにしました。

これは割合シンプルなカクテルですが、それだけにバーテンダーの腕のほどがよく表れるものだということを、物の本で読んだことがあります。

それに私はジンが好きで、若い時分にはよくロックでやったことがありました。これも物の本によれば《長男の飲み物》という意味だそうです。ほら、ことわざに"惣領のジンロック"ってのがあるでしょ(ウソです ^^;)

店主は冷蔵庫の中からよく冷えたドライジン(銘柄はビーフイーター)を取り出して丈長で薄手のグラスに注ぎ、そこにトニックウォーターとソーダ水を加え、さらにグラスの径に合わせて包丁で削った、かっきりした氷を入れます。最後に、通常ならば搾り入れるはずのライムではなく、半切りにした季節物のカボスの搾り汁を加え、半分をグラスの縁に載せます。カボスは徳島産でした。

いとおしむようにコースターに載せて供してくれた、見るからに冷たそうな一件をそっと啜ってみると・・・、う、う、うま~。まさしく絶句ものです。こんなに美味いジントニックがあるなんて、け、けしからん。

どうやらカボスを使うという店主のアイデアが勝負の決め手らしく、甘さを蔵したまろやかな酸味が、えもいわれぬ旨さを醸し出しています。

店主の言によれば、カボスもジンも自己主張の強い個性派で、両者だけではグラスの中に喧嘩が起きて収まらない。それをなだめるのがトニックウォーターソーダ水の役目だとか。あれこれの道に当てはまりそうな話で、すっかり感服しました。

実はこれにはまだ語り残しの部分があります。それは秋の夜長ということで、また明晩。どうやら本件は千夜一夜の趣を呈してきたようですね。

 *下線部の訂正を加えました(2006.10.18追記)
 *撮影機材:RICOH GR-DIGITAL 28mm f2.4
[PR]

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-10-17 09:51 | 身辺雑記


<< 昨夜のできごと #4      昨夜のできごと #2 >>