2007年 02月 06日
地口行燈 #9
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久しぶりに標題のテーマを取り上げます。店ざらしになっている「西インド連句紀行」も続きを書かなければならないのですが、もうしばらくお待ち下さい。



hisako-baabaさんのブログに取り上げられた、上の写真の地口行燈について、2月3日のコメント欄に、元句についてのお尋ねがありましたので、これについていささか記してみたいと思います。

上記のコメント欄にも記しましたが、大黒様がコタツにあたっている絵柄を添えた、この地口行燈の「大黒わ(=は)あったかい」の元句は、「大福はあったかい」であろうと思われます。

ただしこれを現代語の意味に解したのでは、どういうことを言ってるのかよく分かりません。「大福」「あつたかい」の語義が、現代語とはそれぞれ異なるからです。

まず、「大福」は《大福餅》のことではなくて、《大福長者》の省略形と解するのがよさそうです。この語の原義は《大いに富んで福が多いこと》ですが、この元句の「大福」は、そのような人を指したものと思われます。

次に「あったかい」は「あたたかい」の促音化した語形ですが、これも《温暖》の意ではなく、《財産が豊かであるさま》の意を表していると見るべきでしょう。

《温暖》な状態が快適であるところから、後に意味領域を拡げて、そのような経済的状態を表す語として用いられるようになったものです。

そうするとこの元句の意味は、《大金持ちは豊かである》ということになりますね。
ただそれでは、ごく当たり前のことを言ったものになってしまうので、その点にいささか腑に落ちないものが残ります。

また実際にそのような元句があったことを示す用例がみつからない点にも疑問の余地が残ります。どなたか、このあたりのことについてご教示を頂ければ幸いです。

【補訂】 本欄の記事については、訂正と補足すべき点があります。当ブログの地口「大黒はあったかい」補訂の記事を御覧ください。

*撮影機材:RICOH GR-DIGITAL 28mm f2.4
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-02-06 10:58 | 言語・文化雑考


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