2007年 03月 02日
ぶれる
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本日の写真が格別”ぶれ”ている、というわけではありません(^^;



最近、デジカメの新しい機構として「手ぶれ補正」という言葉をよく見聞きするようになりました。この「ぶれ」は、「ぶれる」という動詞の名詞形にあたるものですが、この言葉はいつごろから使われるようになったのでしょうか。

『日国』(第二版)「ぶれる」の項には、語釈に「ふれ動く。定まった位置からそれる。特に、写真をうつすとき、カメラが動く」とあり、『死者の遺したもの』(李恢成・1970)に出る用例が引用されているので、かなり新しい時期に生まれたものと思われます。

ところで、最近では「認知症」と呼ばれるようになった症状を、俗語ではボケと称しますが、そのボケはホケル(呆)という動詞の名詞形ホケの語頭が濁音化したものです。

このように、本来は清音であった語頭音を濁音に換えることで、その語義にマイナスの価値を与える心理作用を、日本語学の分野では濁音減価意識と称します(拙著『やまとことばの散歩道』「ノラネコ」の項参照)。

上記の「ぶれ」もまた、ホケからボケが作られたと同じく、「ふれ(振)」の語頭を濁音に換えることによって、同様の効果を与えようとする意識に支えられて生まれた言葉であろうと思われます。
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 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-03-02 06:28 | 言語・文化雑考


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