2007年 03月 19日
この辞書は、漢語名詞をその意味にしたがって分類配列し、典拠となる内外の文献から引用した記事と、それに対する短い考証を漢文で加え、さらにその語の和名を万葉仮名で示したものです。 その巻十「草木部」の「木類」の中に「木瓜」があり、その語注で、中国の『爾雅(じが)』の注にこの語が記されていることと、日本の『本草和名(ほんぞうわみょう)』という文献に「毛介」の読みが施されてあることなどを記しています(*注)。 この文献に見える「毛介」は、モケという語形を表す万葉仮名で、当時は「木瓜」がこのように呼ばれていたことを示しています。 このモケという和名は、昨日の記事に示した「木瓜」の呉音から転じたものと見ることができます。 ちなみに、現代の「木」の呉音は [moku] ですが、古くは末尾に母音を付けずに [mok] と発音しました。これは中国の発音をそのまま取り入れたもので、現代コリア語の「木」の字音読みにあたる"목" [mok] には、この発音がそのまま受け継がれています。 つまり、本来の「木瓜」の呉音読みは [mokke] だったのが、[k] がひとつ抜け落ちた [moke] の形で日本語に摂取されたと考えることができます。これは木瓜にとってはしあわせなことで、これを称してモッケの幸いと言います(というのは、完全なおやぢギャグ(^^; ) その後、さらに語頭の [mo] が [bo] に転じて [boke] となり、現代語のボケにつながっているわけです。[m] と [b] の二つの子音は、どちらも唇を使うとても良く似た発音なので、このように入れ替わることが多い。サムイ《寒》をサブイと言ったり、ヒモ《紐》がヒボになったりするのは、その一例にあたります。(この項さらに続く) (*注)十巻本和名類聚抄本文による。 今朝もまたボケを中心に、木の花とにゃんこの画像をお届けします。 城尾さんのお腹がだいぶ目立ってきました。 並んで写っている黒美クンがどうもその下手人のようです。 いつぞやその動かぬ証拠画像をアップしたのを覚えておいででしょうか。 *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
by YOSHIO_HAYASHI
| 2007-03-19 07:24
| 言語・文化雑考
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