2007年 03月 25日
再続:なんでボケなんて名前なんでしょう
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昨日の記事の末尾に(この項続くかも)と書きましたが、やはりそのとおりになってしまいました。ボケの話題が続きます。



安東次男『古句再見』(筑摩書房)を拾い読みしていたところ、はからずも次の句に出会いました。

 木瓜の陰に皃類ひ住むきゞす哉     蕪村

「皃(かほ)類(たぐ)ひ住む」というのはいささか解りにくい表現ですが、「きゞす《雉子(キジ)の古名》」がボケの木陰に、これと同じような色をした姿で住んでいるというほどの意味です。
「類ひ住む」の「類ひ」は、「たぐひ」という名詞の動詞形「たぐふ」の連用形にあたるもの。
現代ならば「保護色」ということばを使うところですね。

この句に対して安東氏は次のような解説を加えています。少々長くなりますが、それを引用します。

 その木瓜と呼ばれているものに中国からの渡来種で観賞用にもてはやされてきた
 ボケ(唐ぼけ)と、本邦自生種のクサボケ(しどみ)とがある。【蕪村句の】「木瓜」は
 クサボケだという点に気がつかないと、この句の情景はわからなくなる。 (中略)
 今の歳時記はクサボケを「〓子(しどみ)の花」として別に立てるが、昔は名の区
 別はとくに設けなかったらしい。

     (【 】内は筆者。〓字は昨日の記事にもあった〈木偏に「虍」+「且」〉の字)

なお、シドミにはジナシ(地梨)の別名もあることを ウェブサイト"Botanical Garden" で知りました。こちらにその写真が載っています。同サイトにはボケの花と実の画像も収めてありますのでこちらもご覧下さい。

ともあれ、お江戸のころまでは、シドミとボケを区別せずに「木瓜」としていたわけで、そうするとこれは、韓国でボケとカリンを同じ名で呼んでいるのと軌を一にすることになります。
昨日「日本語とはいささか事情を異にします」と書いたのは、ちと勇み足。これは引っ込めないといけませんね。

今朝は久しぶりの雨。お陰で、桜はたっぷり水分補給ができることでしょうね。雨上がりが楽しみですが、この降りでは、カメラ散歩は無理。
よって本日は、ここ数日の間に撮ってお蔵入りになっていた画像を引っ張り出してアップすることにします。
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*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-03-25 04:52 | 言語・文化雑考


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