2007年 05月 13日
『捷解新語』-「朝鮮通信使」通訳が学んだ日本語教科書- (その4)
f0073935_7563267.jpg
前回からの続きです。



すでに指摘したように『捷解新語』初版と改訂版の間には、次のような本文の異同が見られます。

 (初  版) じゆうにおぼしめすかと、めいわくしまるする。
 (改訂版) じゆうにおぼしめすかと、きのどくに御ざりま(ッ)する。

この文献では、日本語本文の読み方と逐語訳が、ハングルによって行間に施されています(5月6日の記事写真参照)。

上記の箇所についてそれを見ると、日本語文には「めいわく」(初版)と「きのどく」(改訂版)の違いが見られるのに対して、訳文の方はともに《すまなく思うさま・心苦しいさま》の意を表す민망(min-mang<憫惘>)という漢語が当てられていて、二つの版の訳語には違いがありません。

現代日本語では、「迷惑」「気の毒」のどちらの語も、そのような意味を表すのには用いませんが、これはこの二語の意味が、現代に至るまでの間に変化したことを示すものです。

また、そのこととは別に、初版の「迷惑」が改訂版で「気の毒」に改められているというところからは、そのような語義変化が、二つの版が出された70年ほどの時を隔てた間にもすでに起きていたことを知ることもできます。

これはほんの一例を示したものですが、この文献が江戸期における日本語の変化を探る上で貴重な存在であることがお分かりいただけると思います。(この項続く)

今朝は白絵・城尾両猫にまじって、黒虎・茶虎の新顔も姿を見せました。
4匹の出迎えを受けるとは予期していなかったので、煮干がいささか不足気味でした。
これからはもう少し多めに持参することにします。
f0073935_812399.jpg
f0073935_813429.jpg
f0073935_814824.jpg
f0073935_805160.jpg

  *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
[PR]

by YOSHIO_HAYASHI | 2007-05-13 07:49 | 言語・文化雑考


<< 誰がこんなことを・・・ 【加筆アリ】      『捷解新語』-「朝鮮通信使」通... >>