2007年 08月 18日
季語あれこれ -浴衣(2)-
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講談社版『日本大歳時記』夏の部「浴衣」の項に、「俳諧時代になって、浴衣は季語として愛好され」云々の解説(山本健吉氏担当)があり、早い時期の作例として次の三句が挙げられています。



  鬼灯の種にきはづく浴衣かな       許六
  卯の花に咲き足す垣の浴衣哉      也有
  おもしろう汗のしみたる浴衣かな     一茶


しかしはじめの許六の句は、「鬼灯(ほおずき)」を季語と見れば、秋の句とするのが正しく、この時期の「浴衣」は、単独ではまだ季語としてのはたらきはなかったと考えるべきでしょう。

ちなみにここに用いられた「きはづく(きわずく)」という動詞は、《際付く》、すなわち《しみや汚れなどが目に付く》の意を表す語で、今もなお方言として新潟地方などに残っています。

同じことは、後の二句の「浴衣」についても言えます。也有の句は「卯の花」、一茶の句は「汗」がそれぞれ夏の季語であり、「浴衣」はそれに引かれているだけのことです。

「浴衣」が夏の「季語として愛好され」るようになったのは、もっと時代が下ってからのことと見るのがよいでしょう。
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 *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-08-18 08:04 | 言語・文化雑考


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