2007年 09月 20日
「あわただす」という言い方 (3)
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「あわただしい」の動詞形と見られる例の多くは「あわただした」「あわただして」の形を取るので、このような連用形以外の使用例があるかどうかを検索してみたところ、次の例がヒットしました。



 ⑦なんだかあわただすよねぇ~。子供さんが一緒とは聞いていたのですが、
  子供さんがメインになっちゃっててあせりました。


これは、あるブログにアップされた、廃油から石鹸を作る講習会の報告記事に対するコメント。その会場には思ったよりも子供が多かったので、《あわただしく感じられた》ということを記したもののようです。ここには終止形としての「あわただす」が用いられています。

またこれとは別に、「あわただせる」の形を用いた例もありました。

 ⑧「あしも結城を中退して、東京に行きたいものだ・・・何をするにも東京だに」・・・
  正岡子規の胸、あわただせていた、その気持ち・・・アタクシも、わかりまする。


 ⑨そしてそのネットリとした肥痩のある描線、あるいは鉛筆などによる細線といった、
  様々の描写様式の混在は我々の感覚の統合をあわただせるのだ。


この「あわただせる」が「あわただす」に使役の意を添えたものであるならば、《あわただしい思いをさせる》の意を表しているはずです。

確かに上記⑧の使用例は、一応その意味に解することもできるでしょうが、どうもそれだけではなさそう。《あせりをおぼえさせる》の意味に用いたもののようにも見えます。

さらに⑨は、表現の晦渋さのために文意を汲みにくいうらみが残りますが、上記とはまた異なる意味に用いたもののように思われます。

ともあれ、この「あわただす」という言葉には、語形ばかりではなく、語義に関する問題も含まれているようです。  (この項続く)

本日の画像は淺草でのスナップ。昨日また久しぶりに半日の街歩きを楽しんできました。
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 *撮影機材:R-D1+SUMMICRON50mm f2.0 (沈洞式)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-09-20 07:42 | 言語・文化雑考


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