2007年 09月 23日
「あわただす」という言い方 (6)
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「○○ただしい」「○○だたしい」型形容詞を「○○ただす」「○○だたす」の形で用いた例は、「あわただす」「はらだたす」ばかりではありません。「おびただしい」を動詞のように用いた例も、ネット上から探し出すことができました。



 ⑰徳之島町手々の海岸で二十六日、おびただした数の魚の死骸が浮いているのが
  発見された。


この例は、規範的には「おびただしい数の魚の死骸」の形が期待されるところに「おびただした」を用いています。形容詞「おびただしい」から「おびただす」という動詞形を派生させ、その連用形「おびたたし」に助動詞「た」を添えた形と見ることができます。

 ⑱西安郊外にある前漢景帝の陽陵付近から出土した刑具をつけた白骨遺体。
  湖北雲夢県睡虎地出土の秦代官吏の遺骨とおびただして竹簡。


こちらの例も「おびただしい竹簡」とありたいところに「おびただして」の形を用いています。

ただし、本例は「て」を伴っており、連用修飾語としての機能が期待される形を「竹簡」に係る連体修飾語としている点に問題が残ります。しかしその点はさておき、書き手の言語使用意識の上では、この語が形容詞の形としてではなく、動詞形として認識されていることには疑いがないと思われます。

このような例を加えることにより、現代日本語の水面下では、「○○ただしい」「○○だたしい」型形容詞に「○○ただす」「○○だたす」という動詞形がひそかに形成されつつあることが確認されました。

今後この形がどのような伸張ぶりを見せるか、ネットを中心にウォッチングを続けていきたいと思います。  (この項終り)

最後の画像で寅絵(3枚目)と戯れているのは、城尾さん(4枚目)ではなく、青目の白クンです。
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 *撮影機材:R-D1+SUMMICRON50mm f2.0 (沈洞式)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-09-23 08:07 | 言語・文化雑考


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