2007年 10月 20日
「りっぱ(立派)」 (その4)
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幕末に来日したJ・C・ヘボン(1815-1911)が編んだ和英辞典『和英語林集成』には、当然の事ながら「りっぱ」が採録されています。その初版(1867)には次のようにあります。



 Rippa. リッパ, 立派, n. Splendid,fine,magnificent. (中略)
    Syn. KEKKO,UTSZUKUSHII.

末尾には Syn.(同義語)として、KEKKO(結構。※O の上に長音符号あり) と UTSZUKUSHII(美しい)の二語が掲げられています([ツ]のローマ字綴り"TSZU"は原文のまま)。

ところで、上の引用箇所の「中略」とした部分には、日本語の例文とその英訳が示されてあり、初版には次の二つの例文が掲げられています(原文はローマ字書き)。

 リッパナ オトコブリ
 リッパナ オテンキ


これは再版(1872)でも同じですが、三版(1886)になると、「リッパナ オテンキ」が「リッパナ キモノ」に差し替えられています。

現代語の立場から見れば、「りっぱ」の例文として「立派なお天気」を用いるのには、いささか違和感を覚えます。三版がこれを別の例文に差し替えたのは、そのような判断がはたらいた結果だったのでしょうね。

あるいは、初版と再版に載る「立派なお天気」という表現は、江戸末期の日本語としてはおかしなものでなかったのかもしれません。ただ、ひょっとするとこれはヘボンが自身の判断で英語の"fine weather"の"fine"に、直訳的に「リッパナ」を当てて作った例文だったのではないかという疑いも拭い切れません。

この点については、幕末ごろの文献の中から「りっぱ」の用例を集めて、それに基づいて判断をしなければなりませんが、残念ながらまだそこまでは至っていません。どなたかこのような用例をご存じでしたらご教示下さい。
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  *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-10-20 08:02 | 言語・文化雑考


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