2007年 10月 21日
「りっぱ(立派)」 (その5)
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昨日の記事に、『和英語林集成』初版・再版の「Rippa(リッパ)」の項に「リッパナ オテンキ」とあることについて、これは編者ヘボンによる作例の可能性もあるのではないかということを書きましたが、その後、そのようには考えなくてよいことが明らかになりました。



それは、『日本方言大辞典』(小学館)「りっぱ」の項に、以下の記述と用例を見つけたからです。

 美しいさま。結構。また、天気のよいさま

そこには、「天気のよいさま」を言う方言として、大分県大分郡の「りっぱな おてんきで ござりやんす」の例が挙げられています。出典一覧によれば、これは日本放送協会編『全国方言資料』(1966~67)に収められているとのこと。

さらにこの用法は、ギッパ(福岡県八女郡/長崎市)・ジッパ(静岡県・三重県志摩郡・福岡県久留米市)・ビッパ(福岡県朝倉郡)・ルッパ(新潟県中越)などの語形で各地に分布している(いた)ことも知られます。

これはまさに『和英語林集成』の初版と再版に載る「リッパナ オテンキ」と同じ使い方にあたるもので、ヘボンが来日した幕末から明治初期のころには、まだ中央にもこのような用法が残っていたことを示すものです。

それが、同書の第三版が出版された1886年のころになると、すでにこの用法が耳遠いものになっていたために、例文を「キレイナ キモノ」に差し替えるという改訂がなされたものと思われます。

ヘボンが「りっぱ」の項に採録した「リッパナ オテンキ」という例文は、現代方言との接点を示す言語資料として価値のあるものと言えるでしょう。
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*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-10-21 05:56 | 言語・文化雑考


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