2007年 11月 10日
「びんぼすっぽ」という言葉 (1)
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江戸期の俗語に、《ひどく貧乏なさま》の意を表す「びんぼすっぽ」という言葉がありました。



俳諧師の安原貞室(やすはらていしつ)が、当時の俚言・俗語を集め、その語形や用法に批判を加えて編んだ『かたこと』(1650年刊)という著作の中に、次のような記述があります。

 まづしき人を、びんぼうにんといふべきを誤りて、びんぼにんといへるさへいやしきに、
 びんぼすっぽなど云(いへ)るは、猶(なほ)あさましき。


著者は、「びんぼうにん」を「びんぼにん」と言うだけでも卑しく聞こえるのに、「びんぼすっぽ」などと言うに至っては、あきれて開いた口がふさがらないと批判しています。

このくだりは、『日本国語大辞典』(第2版)の「びんぼ-すっぽ」の項に引用され、そこでは次のような語義解説が加えられています。

  「びんぼ」に語呂を合わせて「すっぽ」を添え、「びんぼう(貧乏)」の意を強めていう語。
 びんぼうすっぽ。びんぼうすっぽう。


現代語にも、漢語の「云々(うんぬん)」に語呂を合わせた「うんぬんかんぬん」という言い方がありますが、この「かんぬん」は意味のない言葉で、おそらく「なんのかんの」などからの類推で、「うんぬん」に語調を合わせて「かんぬん」という語形を対置させたものと思われます。

ところで、上記辞典の語義解説では、「びんぼすっぽ」の「すっぽ」をこの「うんぬんかんぬん」の「かんぬん」と同じように、単なる語呂合わせと解しているようです。しかし、はたして「すっぽ」は意味のない言葉だったのでしょうか。 (この項続く)

今朝は雨降りのために散歩は中止。本日の画像は例によって浅草で撮ったスナップのストックの中からアップしました。
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 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-11-10 08:16 | 言語・文化雑考


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