2007年 11月 24日
鼻を「かむ」(3)
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標題の動詞の語源についてはこれ以上深追いせずに、その周辺の話題を続けることにします。



日葡辞書』(1603-04)では、見出し語として《噛む》の意を表すカムとは別に「(鼻を)カム」を立てています。そして、その例文に "Fanauo camu.(ハナヲ カム)" を挙げ、「鼻汁を拭き取る」という語釈を施しています。

また、これとは別に Tebana.(テバナ)の項があり、「手で洟をかむこと」という語釈に添えて、"Tebanauo camu.(テバナヲ カム)" の例文を掲げています。

この項で注意されるのは、その後に「卑語」という語性に関する注記が施されていることです(以上の訳文は『邦訳日葡辞書』<岩波書店>による)。

この辞書は、キリシタン宣教師が口にすべきでない日本語にこの注記を与えるのを常としています。彼らが日本人から自らの品格を低く見られないように、日本語運用に際して細心の注意を払っていたことを示すものですが、前々項(1)で見たように、平安時代には「手ヲ以テ鼻洟ヲ去ル」という注記によって示された動作を表す言葉が、当時はこのように、品格の劣るものとして扱われている点が注意されます。  (この項続く)

写真のストックが底をついた時には、街歩きで撮った画像の出番(笑)、というわけで、本日も浅草の街でのスナップをご披露いたします。
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 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-11-24 05:07 | 言語・文化雑考


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