2007年 11月 25日
鼻を「かむ」(4)
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標題の「かむ」という動作を表す漢字は、現在の常用漢字表にはありませんが、すでにこの項の(1)で触れたように、平安時代の『和名類聚抄』には、手偏に「弟」を添えた字が用いられていました(ただしこの「弟」については、これと字体のよく似た「洟(はな)」の旁(つくり)にあたる「夷」字を誤った可能性を想定する説もあります)。



一方、中国ではこれを表す漢字として、手偏に鼻を書く「」の字を用います。『大漢和辞典』には、その字義を解説した『篇海』という字書の次の記事が引かれています(書き下し文に改めた形で引用します)。

 手、鼻膿ヲ捻(ひね)ルヲ、擤ト曰(い)フ。

この字は、このような意味を表すのに、《手》と《鼻》の二つの意符を組み合わせた形で作られています。これは会意と呼ばれる漢字の構成原理に従ったものです。日本製の「(なぎ)」とか「(しつけ)」のような国字も、ほとんどこの方式で作られていますね。

これは余談ですが、先日通勤の車の中でラジオを聞いていたら、長く中国で生活していた方が、中国では現代でも「手鼻をかむ」やりかたを見かけるという話をしていました。

「鼻紙」が「ティッシュペーパー」と名を変えて、駅前で無料で配られているような現代の日本では、ちょっと考えられないことですが、私たちの世代の幼時には、「手+鼻」は日本でもよく目にする、さほど珍しくない行為でした。
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 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-11-25 04:45 | 言語・文化雑考


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