2007年 12月 02日
「まじまじ」と「まんじり」(3)
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「まじまじ」に《じっと目をすえて見つめる様子》の語義が生まれたのは、この項(2)で引用した『日葡辞書』(A)の「何一つとして心を配ることもなく,非常にのんびりとしていること」に示される、(C)《平気でいる様子》の意から転じて、(D)《ひるむことなく物事に直面する様子》を表すようになったことによるものと考えられます。



『日国』(第二版)「まじまじ」②の項には、上記(C)の語義にあたる用例の一つとして、『伊勢山田俳諧集』(1650)という俳諧書に見える次の付合が挙げられています。

  ぬるみし水をひたと打ぬる
 まじまじと守る蛙のつらにくや


上記の「まじまじと守る」は《平気な顔で見つめる》の意に解されていますが、このような用法から《平気でいる様子》という意味要素が失われていくと、現代語に見られるような《対象となるものをじっと見つめる様子》の語義が新たに生まれることになりますね。

次の川柳は『誹風柳多留』九十三篇<1827>に出るものです。

 まじまじと馬の見て居る麥畑 

「まじまじ」がこのように、現代語と同じ意味で用いられるようになるのは、江戸期後半以降のことと思われます。 (この項続く)

12月に入った昨日は、入試問題の最終校正のための土曜出勤、来週の土曜日は、外国人留学生を対象とする入試と面接があり、それに駆り出されます。入試関連の業務が早くも始まりました。
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 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2007-12-02 05:55 | 言語・文化雑考


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