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2007年 12月 04日
「まじまじ」と「まんじり」(4)
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ここから話題が少し枝道に入ります。

《誠実な様子》を表すマジメという語には「真面目」の漢字表記が用いられます。この表記では「真面」がマジ、「目」がメに対応しています。



「真面」をマジと読むのは、「竹刀」をシナイと読み、「流行病」をハヤリヤマイと読むのと同じく、2字以上の漢字を組み合わせた熟字を用いて、その意味にあたる和語を表す方法で、このような漢字の読み方を「熟字訓」といいます。

最近では「他人事」をタニンゴトと読むようになっていますが、かつてはヒトゴトと読まれました。ヒトには《他人》の意味もありますから、「他人」をヒトと読むのは熟字訓にあたります。「とてもヒトゴトとは思えない」のような言い方には、まだこのヒトゴトが生きていますね。

さて、このマジというのは、目下の話題として取り上げている「まじまじ」を構成する要素にあたるものです。つまり《対象をじっと見つめる目》というのがマジメの本来の意味で、それが後に、そのような目で対象に直面する真剣な態度や性格を言い表す言葉になったものと考えられます。

ところで、この項(2)に引用した『日葡辞書』には、マジメの見出しがありません。それは当時まだこの言葉がなかったからでしょう。

つまり、マジメという言葉は、「まじまじ」に《じっと見つめる様子》の意味が生まれた後にできたものと考えることができます。
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*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)

by YOSHIO_HAYASHI | 2007-12-04 05:03 | 言語・文化雑考


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