2008年 06月 11日
花の名前 -ビヨウヤナギ(4)-
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さきの「ビヨウヤナギ(2)」で触れたように、この花名の漢字表記は「未央柳」が本来のものです。



現在の音読みだと、「未」は、「央」はオウですが、これは呉音と呼ばれる、5~6世紀ごろに日本に伝来した中国の読み方にあたるものです。

これに対して「未」を、「央」をヨウと読むのは、それよりも後、7~8世紀のころに遣唐使が中国で学んだ読み方を今に伝えるもので、こちらは漢音と呼ばれます*。当時の朝廷がこの読み方を推奨した結果、漢文を訓読する際などにはこの読み方を用いるようになっていきます。「未央」をビヨウと読むのは、そのような伝統に従った読み方にあたるものです。

 *ちなみに、『日本国語大辞典』(第2版)「びよう(未央)」の項に(「よう」は「央」の呉音)と
  あるのは誤りで、「漢音」が正しい。またどうせのことなら、「よう」だけでなく「び」も漢音で
  あることを注記してほしいもの。“弘法”ならぬ“日国”も筆の誤りですぞ、これは。


余談ですが、同じ漢字がの両方の音を持つものには「」もありますね。こちらは一般には漢音のが用いられますが、「久美子」「美沙子」のような女性の名前には呉音のも生きています。なおまた、「美人」は日本ではジンですが、韓国ではイン。ここにもこの問題がからんでいます。

ところが、そのビヨウヤナギという呼び名が世に広まるとともに、本来の漢字表記が一般には段々なじみの薄いものになり、やがてはビヨウを表すのに、「未央」ではなくて、これと同音でなじみやすい「美容」の漢字が用いられるようになります。そしてついには、こちらが本来のものと見られるまでに至る。これはまさに、ことわざにいう「庇を貸して母屋を取られる」 を地で行くような話ですね。 (この項続く)

今日の画像は、昨日撮ったものの続き。

2枚目は、6月6日「仲夏の入り」のページ4枚目の画像と同じ種類の花です。その時には名前が解らなかったのですが、これをご覧頂いた中学時代の同級生N・Kさんが、「カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)」であることをメールで教えて下さいました。確かにその名のとおり、葉の形は柏の葉によく似ています。

4枚目はビヨウヤナギに似ていますが、こちらは同じオトギリソウ科に属するキンシバイ(金糸梅)。花の形が違いますね。昨日の遊歩道に入る道路脇に群生していました。
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  *撮影機材:R-D1+SUMMARON35mm f3.5 (Lmount)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-06-11 05:50 | 言語・文化雑考


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