2008年 07月 12日
花の名前 -ノウゼンカズラ(5)-
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古代日本語にはラ行音で始まることばはありません。これは日本語の大きな特徴の一つと言ってよいものです。しかし本来中国のことばである漢語にはそういうことがありません。



そのような漢語が外来語として輸入され、それらが日本語に定着するにつれて、この日本語の特徴は次第に失われていきます。

前々回に引用した『和名類聚抄』の時代にはすでにそのようなラ行音で始まる漢語が日本語に定着しはじめていました。それは、この辞書に収められた次のような例にその一端を見ることができます(和訓の原表記は万葉仮名)。

 駱駝(ラクダノウマ)
 林檎(リウコウ)  →後のリンゴ
 瑠璃(ルリ)
 櫺 (レニシ)   →後のレンジ
 艣 (ロ)     →船の櫓(ろ)

ところで、ノウゼンカヅラを指す「凌霄」の字音が本来はリョウゼンであるのに、これがノウゼンの形を取っているのは、 音で始まる語が古くは日本になかったので、リョウをこれに近い 音で始まるノウの形に変えて受け入れたためであるとする説があります。

しかし一方では、すでにラ行音が語頭にくる語がそのままの形で受け入れられていたことを示す、上のような例が少なからず見られることに照らせば、そのような考えは説得力が弱いものと言わざるをえません。 (この項続く)

今ごろの時期は花の彩りに乏しいですね。今日の画像はそのよい例です。
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  *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-07-12 08:04 | 言語・文化雑考


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