2008年 07月 20日
花の名前 -アジサイ(2)-
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日本の文献にアジサイが登場する、そのもっとも古い例は『万葉集』巻二十の中に見ることができます。

 あぢさゐの 八重咲くごとく 彌(や)つ代にを いませわが背子 見つつ偲(しの)はむ



 【紫陽花が八重に咲くように、幾久しくお栄えあれ、親愛なる君よ。私はこの花を見ながら、
  そのことに思いを馳せよう。】

この歌は、当時左大臣であった橘諸兄(たちばなのもろえ)が、五月十一日に丹比真人 (たぢひのまひと) の邸宅で開かれた宴に臨み、その席で詠んだものです。

真人の繁栄が幾重にも重なるようにという言祝(ことほき)のこころを、アジサイの花にこと寄せて歌ったものですが、そのなぞらえが示すように、ここに詠まれたアジサイは、「八重咲く」という表現にふさわしい花を咲かせる種類のものであったことが知られます。

またこれを言語の面から見ると、原文ではアジサイを「安治佐爲」と書き表しているほか、この歌が詠まれた事情を記す漢文の詞書(ことばがき)には、「右ノ一首ハ、左大臣、味狭藍ノ花ニ寄セテ詠メリ」とあることが注意されます。

ここに見える「安治佐爲」「味狭藍」の表記はともに、仮名で「あぢさゐ」と書かれる語形を表すものです。 (この項続く)

昨日は、梅雨の上がりたての炎暑の中を早稲田大学におもむき、50人ほどの参加者の前で無事講演を済ませることができました。終了後の懇親会の席で、運営委員のお一人から、「目から鱗が落ちました」というご感想をお聞きすることが出来たのが、なによりの収穫でした。
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  *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-07-20 10:35 | 言語・文化雑考


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