2008年 09月 12日
竹の春
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次の句の季はいつでしょうか。

 おのが葉に月おぼろなり竹の春      蕪村



「月おぼろなり」とあるのに加えて「春」とあるからには、文句なしに春、と答えたくなりますが、そうではありません。正解は秋。「竹の春」が仲秋の季語にあたります。竹は秋になると緑が色濃く茂るところから、この季語が生まれたとされます。

これに対するのは「竹の秋」。

掘りあてし井戸の深さや竹の秋      長谷川零余子

こちらは晩春の季語。竹はこの時期、筍を育てるのに力を奪われて葉の色が黄ばみ、他の植物が秋を迎えるのに似た様相を呈するところから、こう呼ばれるようになったということです。

初夏の季語「麦の秋」もそうですが、季を示す語を含みながら、実際はそれとは季節を異にするこのような季語には、植物の特性に目を向けた日本人の細やかな観察眼と知性を感じさせるものがありますね。
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  *撮影機材:R-D1+SUMMARON35mm f2.8 (MLmount)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-09-12 07:34 | 言語・文化雑考


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