2008年 09月 17日
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上の画像は、札幌在住の旧友佐藤和男氏からメールに添えて送られて来た、樹齢数百年に及ぶという桂の巨樹の写真。手前に見える空洞部分のある木株は、5年ほど前の強風で倒れた木を切断したものの残骸だそうな。



桂は北海道を代表する樹木で、これからの季節は葉が黄変して山を飾り、雪解けの頃には赤い芽を出して春の到来を告げるということです。

ところで、連歌・俳諧の世界では、「桂」を月の異名として用います。これは、月の世界には桂が生えているという中国の伝説にちなむものです。また、そこに住むとされる男を指す「桂男」を用いることもあります。

芭蕉が「桃青」の俳号を名乗っていた時期、延宝四年(1676)に刊行された『誹諧当世男(はいかいとうせいおとこ)』に収める付合(つけあい)の中に、次の作が見えます。

 月の中の桂は凡(およ)そ何程ぞ
   かねにてかはん雲の一むら      桃青


《月の世界に生えている桂の木はだいたいどれほどのものだろうか》という前句の問いに対して、《金で買えるものならば、月の邪魔になる村雲を買い取って、ゆっくりその桂を眺めてみたいものだ》と短句で応じたもの。

月の中の桂の木の大きさを「何程ぞ」と問うたのを、価格をたずねた言葉と見なし、金銭の話題にすり替えて答えたもので、こうしたところには、芭蕉が青年時代に傾倒した談林俳諧の付合の特徴がよくあらわれています。 (この項続く)
  
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-09-17 06:08 | 言語・文化雑考


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