2008年 09月 21日
花の名前 -ケイトウ(3)-
f0073935_542847.jpgケイトウの原産地は熱帯アジアとされています。それが日本にいつごろ渡来したのかは不明ですが、かなり古い時期にまでさかのぼることは確かです。

左の画像は、タイの風物の画像をパソコン壁紙として提供するウェブ loopthai.com から入手したケイトウの写真。色合いといい形といい、本物の鶏冠(とさか)にそっくりですね。日本に渡来した原初の姿は、こんな形状のものだったのかもしれません。



f0073935_722145.jpgところでこの花の名前は、前回までに見てきたように、中世のころにはケイトウゲ(鶏頭花)という漢語の形が用いられ、後世その語尾が省略されて現在のケイトウに至っています。しかし古くからこのような漢名で呼ばれていたわけではありません。

左の画像は、平安時代の西暦918年、深根輔仁(ふかねのすけひと)という本草学者が醍醐天皇の勅命を受けて編んだ『本草和名(ほんぞうわみょう)』という薬物書に載る一行の記事。ここには見出し字の「鶏冠草」に対する「和名」が、万葉仮名で「加良阿為(カラアヰ)」と記されています。

この漢字表記は、後世の「鶏頭花」とは異なりますが、この時代には「鶏頭」ではなく「鶏冠」の表記が用いられていたと考えれば、これは現在のケイトウを指すものと見ることができます。

ちなみに、中国ではこの植物を表すのに古来「雞冠」が用いられ、「雞頭」は《オニバス(鬼蓮)の実》にあたるとされます(『大漢和辞典』<大修館>による)。そうすると、漢字表記としては「鶏冠草」が本来のものであり、『本草和名』の上記の記事はそれを正しく伝えたものであることになります。

それはともあれ、ここに現在のケイトウに対して、カラアヰというやまとことばが用いられていることは大いに注目されます。 (この項続く)

最後から二枚目のちびトラは新顔。最後の画像の城尾さんの仔ではありません。カメラを向けると、逃げ腰半分ながらも好奇心旺盛な眼でこちらを見てくれました。
f0073935_821421.jpg
f0073935_822354.jpg
f0073935_823346.jpg
f0073935_824153.jpg
f0073935_824893.jpg

*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
[PR]

by YOSHIO_HAYASHI | 2008-09-21 05:42 | 言語・文化雑考


<< 花の名前 -ケイトウ(4)-      花の名前 -ケイトウ(2)- >>