2008年 09月 30日
「おとめ」二題 (2)
f0073935_541645.jpg左に掲げたのは、前回に引用した『物類称呼』の「発燭 つけぎ ゆわうぎ」の項目の画像です。

ここには、前回示したように、贈り物を入れてきた器にお礼として返す品を、東国で「うつり」と言うのに対して、土佐の国では「とめ」と言う、とあります。

前者の「うつり」については、江戸の漢学者太田全齋の編んだ方言・俗語辞典、『俚言集覧(りげんしゅうらん)』(1797年頃成立)にも次のように記されています。

贈物の器へ有合(ありあわせ)の品を入れて還(かえ)すをウツリと云。

ここにいう「有合の品」としては、杉や檜などを薄くそいだ木片の一方に硫黄を塗って着火しやすくし、火を他に移したりするのに使用する「付け木」が、一般に用いられました。

また、『物類称呼』に「東国にて つけぎ といふ」とあるように、東北・関東では頂き物を入れた器に添えて返す品を、それが付け木以外のものであっても「つけぎ」と呼び、私の郷里いわき市にも、この呼び名は最近まで残っていました。



なお、これも『物類称呼』に「関西にて ゆわう と云」「ゆわうぎの下略成べし」とあるのは、関西ではこれを「ゆわうぎ(硫黄木)」と呼んだのが略されて「ゆわう」になったということを述べたものです。

ちなみに、《硫黄》は現代語ではイオウですが、古くは「ゆわう」と呼ばれ、それが ユワウ → ユオウ →イオウ と変化したものです。 (この項続く)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-09-30 05:40 | 言語・文化雑考


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