2008年 10月 23日
「ながめつすがめつ」 (2)
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標題の「ながめつ・すがめつ」という表現は、古い定型句「ためつ・すがめつ」が現代風に変化した語形であろうと思われます。



二つの動詞を「~つ~つ」の形で並立させた形式の定型句は、前回のコメントに kokichi50 さんが寄せて下さった「とつ・おいつ」「なだめつ・すかしつ」や、寿児郎クンの提示する「くんづ・ほぐれつ」などのほかにもまだありますね。

 さしつ・さされつ《(酒などを)差したり差されたり》
 おっつ・まくっつ《追いかけたり追い散らしたり》
 ふんづ・けっつ《踏んだり蹴ったり》
 ・・・・

「ためつ・すがめつ」というのは、動詞の「矯(た)む」と「眇(すが)む」を並立させた形で、《目をこらしたり・片目を細めたり》して、対象物をさまざまな角度からよくながめるさまを言うのに用いる表現です。

ところでこの表現には、他方に「ためつ・ひづめつ」「ためつ・すかしつ」などの類似形もあり、さらに kokichi50 さんお示しの「すがつ・ながめつ」(→これは実際には意味をなさない訛った形)や「ためつ・ながめつ」を加えると、古くから変種の多い定型句であったことがうかがわれます。

私が標題の「ながめつ・すがめつ」に違和感を覚えたのは、「ためつすがめつ ながめる」のようにこの定型句によって修飾される側の「ながめる」が、いつの間にかその前に立つ定型句の中にすまし顔で入り込んでいる点にあったように思われます。 (この項続く)

本日は「「町田市民文学館ことばらんど」で、「芭蕉俳諧のことばをめぐって」という題の三回目の講義をして来ました。冒頭の画像はその折に係の山田さんに撮って頂いたものです。受講者はほとんどが熟年の方々で、たいへん熱心に聴講して下さり、充実感にひたりながら帰途に就きました。

 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-10-23 20:32 | 言語・文化雑考


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