2008年 11月 17日
ヒシャク(柄杓) (番外篇)
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            (『日本常民生活絵引』<平凡社>第四巻による)

上に掲げる画像は、「春日権現験記」という絵巻物に載るヒシャクの絵です。(写真は着色原本のモノクロ印刷による複製。絵の中の番号は、描かれた事物を検索するために加えられた「絵引」用のもの)



この絵巻は、延慶二年(1309)に、左大臣西園寺公衡が春日神社に奉納したということが、第二十巻の奥書に記されてあり、年代の確定できる点に高い史料価値があります。

この絵は、大工たちが作事場で食事をしている場面を描いたものの一部で、女が曲物桶(まげものおけ)からヒシャクで汲み上げた汁を、男の差し出した汁椀によそっているところが描かれています。

ここに見えるヒシャクは、今日のものと同じ形をしており、鎌倉末期にはすでにこのような形に作られていたことが知られます。

この絵を掲載する文献の「絵引」によれば、他にも多くのヒシャクの絵を見つけることができますが、そのどれもが長い柄の付いた形に描かれています。

絵巻物はこのように、文字資料だけでは知ることのできない、古い時代の庶民生活の姿をわれわれに教えてくれます。
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-11-17 06:35 | 言語・文化雑考


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