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2008年 12月 04日
「鍍金(メッキ)」について (3)
「メッキ」の語源になった「滅金」という熟語の使用例は、さらに古く、平安時代の『延喜式』(927)に見える「滅金百三両」の記事にまでさかのぼることができます。



なお、これを収める『日本国語大辞典(第二版)』「めっきん【滅金】」①の項には次のような語義解説があります。

 金を細かい粒子にしたもの。めっきの材料などにする。

一方、中国側には、現在もっとも所収語彙の多い『漢語大詞典』にもこの熟語は見あたりません。「滅金」は日本で作られた和製漢語にあたるものと見るのがよいでしょう。

ところで、この「滅金」という語、本来は、金を細かく砕いて泥状にしたり、溶かしたりしたもので仏像などの表面を薄い膜で覆う技法を意味する語ですが、後にはそれとは少し異なる方法をも意味するようになります。

1603年に出版された『日葡辞書』には次のようにあります(画像は『邦訳日葡辞書』<岩波書店>による)。
「鍍金(メッキ)」について (3)_f0073935_6405428.jpg
この記事によれば、当時のメッキは、金の薄片をかぶせることであり、そのことを「メッキをさす」と言ったことが知られます。

前回引用した『下学集』には、「滅金」が《箔》を意味する「薄」の次に掲げられていました。このこともまた、メッキが「薄」と類縁関係にあったことを示すものと言えるでしょう。 (この項続く)

by YOSHIO_HAYASHI | 2008-12-04 06:53 | 言語・文化雑考


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