2008年 12月 05日
「鍍金(メッキ)」について (4)
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ところで、「メッキ」の本来の漢字表記にあたる「滅金」には、なぜ「滅」の字が用いられたのでしょうか。



この問題を考えるには、ここでも『日葡辞書』(『邦訳日葡辞書』による)の記事が恰好の手がかりを与えてくれます。
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上に引用した箇所の、初めの項の記述によれば、当時は、ものの表面を箔や泥状の金などで薄く覆うことを、「箔をけす」「泥(でい)をけす」など、「けす」という動詞を用いて表していたことが知られます。

またこれに続く項の記事からは、メッキを施すことや、そうしたものを指す「けしメッキ」ということばが、当時「上(カミ)」と呼ばれた京都地方にあったことも知ることができます。

メッキに関して「けす」という動詞を用いたことは、日本側の文献からも確かめることができます。

1535年ごろに成立した『毛詩抄』(『詩経』の注釈書)の巻六の中に、「鋈」【沃+金】という漢字の意味を解説した、次のような箇所があります。

 白金(しろがね)ヲケシテ白メツキヲサイタヲ云(いう)ゾ。

ここでは、銀を溶かすことを「白金をけす」と言い、それによって銀メッキを行うことを「白めっきをさす」と表現しています。ここに「サイタ」とあるのは、現代語の「さした」の音便形にあたるものですが、この言い方は、前回に引用した日葡辞書の記事に「メッキをさす」とあったことと符合します。 (この項続く)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-12-05 05:01 | 言語・文化雑考


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