2008年 12月 06日
「鍍金(メッキ)」について (5)
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次に示す画像は、平安末期のころに成立した、部首分類漢字字書『観智院本類聚名義抄』(1241年書写)の「水(氵)」部に載る記事のコピーです。



f0073935_554097.jpgここに見るように、見出し字の「」の下に施された和訓の中に「ケス」とあるところから、この漢字にはかつてこのような読みもあったことが知られます。

したがって、昨日の記事に引用した『日葡辞書』に見える、メッキについて用いた「けす」という語も、この流れを汲むものと見ることができます。

つまり「滅金」という和製漢語は、本来《金をけす》の意を表すものであり、メッキに用いるために金などを溶かしてその形を変えてしまうところから、このような表現が生まれたものと推測されます。

この熟語の音読みにあたる「メッキン」が、後に「メッキ」に変わったことについてはすで触れましたが、その漢字表記の方も、近代以降「滅金」よりも「鍍金」が用いられるようになり、さらにその音読みから「トキン」という新しい語形が生まれました。

しかし、その後もなお、古い「メッキ」の語形は廃れることなく受け継がれ、「鍍金」の別の読みとして今日にまで至っているわけです。

メッキという語は、思ったよりも古い歴史を持つことばだったのですね。 
(この項続く)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-12-06 05:59 | 言語・文化雑考


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