2008年 12月 14日
「鍍金(メッキ)」余録 (2)
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12月13日のコメント欄に、ちがやまるさんから、「メッキをけす」の「けす」について、「化(ケ)す」とのつながりはあり得るかというお尋ねがありましたので、そのお答えとして一項を立てることにしました。



すでに12月5日の記事にその画像を引用しましたが、『日葡辞書』には「けす」という動詞が次の見出しで示されていました。

 Qexi, su, eita. (ケシ, ス, イタ)

これは、この動詞の活用を西洋文法に則して示したもので、次の三形に相当します。

 ケシ(基本形)、ケス(現在形)、ケイタ(過去形)

ここに見るように、この辞書では現在形と過去形については語幹を省略して示すのが一般的ですが、日本語の文法に則して言えば、これらは《連用形、終止形、連用形+タ》にあたるもので、その活用形式はサ行四段活用に相当します。

ちなみに、過去形に「ケイタ」とあるのは、「ケシタ」の音便化した形で、サ行四段活用動詞の連用形が過去を表す タ に接続する時には、このようなイ音便形が用いられることを示したものです。

一方、この辞書には、次の画像に見るように「化す」にあたる動詞も採録されています。
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こちらの見出しには次の三形が示されています。

 ケシ(基本形)、ケスル(現在形)、ケシタ(過去形)

前項と比べると、現在形においては、ケス:ケスル、過去形では、ケイタ:ケシタの相違のあることが見て取れます。ことに、こちらの過去形には音便化しない「ケシタ」を掲げている点が注目されます。これは、後者が漢語の「化(ケ)」に「する」が付いて生まれたサ行変格活用動詞であるためです。四段活用以外の動詞では、連用形が音便化することはありません。

つまり、両者は活用の異なる動詞であり、「メッキをけす」の「けす」と「化す」との間には、直接のつながりはないものと判断されます。

*撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm f1.4 (S・C)
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by YOSHIO_HAYASHI | 2008-12-14 07:50 | 言語・文化雑考


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