2009年 07月 23日
いささかとらえどころのないタイトルを掲げて、本筋に入る前の脇道から話を始めることにします。 喜多川守貞が編んだ『守貞謾稿(もりさだまんこう)』は、著者が見聞した江戸末期の風俗全般について、大阪と江戸を比較する形で記述した分類体絵入り百科事典で、天保八年(1837)年からおよそ30年にわたって書き続けられたものです。 左の画像は、その巻乃五「生業」に収める「蕃椒(とうがらし)粉売」の条に添えられた絵のコピー。右側に「大阪唐辛売 甘辛屋儀兵衛肖像」と記されています(朝倉治彦編『合本 自筆影印 守貞漫稿』<東京堂出版>による)。 その条の大阪に関する解説には次のようにあります。 七味蕃椒ト号(し)テ、陳皮・山椒・肉桂・黒胡麻・麻仁 <空欄> 等ヲ竹筒ニ納(い)レ、鑿(のみ)ヲ以テ之ヲ突刻(つききざみて)売ル。諸食ニカケテ食フ人多シ。 これに続いて、上記の甘辛屋儀兵衛(あまからや・ぎへい)に関する説明があり、この人物は買い手の求めに応じてさまざまに面白い口上を述べるので、買い手の中には特別に金を払ってそれを演じさせて楽しむ人もいたということが記されています。 一方、江戸の唐辛子粉売りについては、新宿の内藤氏の邸宅があったあたり(いわゆる「内藤新宿」)が唐辛子の名産地であったので、その粉の売り手は、「内藤トウガラシ」という呼び名でこれを売り歩いたということが記されています。 (この項続く)
by YOSHIO_HAYASHI
| 2009-07-23 11:50
| 言語・文化雑考
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