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2006年 04月 14日
じゃり(砂利) (4)
じゃり(砂利) (4)_f0073935_337333.jpg 文献に見える「じゃり」の例は、昨日のよりもっと前の時代のものもあります。
 
 『日本国語大辞典(第二版)』「じゃり(砂利)」に引用される、次の「梅津政景日記」元和五年(1615)七月二日の記事が、これまでのところではもっとも古い「じゃり」の用例のようです。

 御たたみの表・石・壁土・ぢやりの書付渡

 この日記の筆者梅津政景(うめづまさかげ)は、関ヶ原の戦いの後、常陸国から出羽国に移封されて秋田藩を開いた戦国大名佐竹義宣の家臣で、家老や勘定奉行などの要職を務めて藩政に尽力した人物です(日立デジタル 平凡社CD-ROM『世界大百科事典』による)。

 この記事は、彼が藩の普請業務にたずさわっていたことを示すもので、ここに列挙された建築用材名の中に「ぢやり」とある点が注意されます。




  ここで「じゃり」が「ぢやり」と表記されているのは、当時すでに「じ」と「ぢ」の仮名が混用されていたから。いわゆる"四つ仮名の混同"の例にあたる事象です。

 ちなみに、この語の本来の形は「ゃり」でなくて 「ゃり」だったのではないのか、という疑問が湧くかもしれません。しかしそれは、後に立ち入ることになるはずの、この語の語源の面からあっさり否定されます。

 ところで、前回の例もそうでしたが、ここでも問題の語が仮名で書かれています。

 これは偶然なのかもしれません。しかし、ひょっとしたら「じゃり」は初めから漢字で書かれたりはしなかったのではないか、という疑いも残ります。

 この辺をもっと詰めてみる必要がありそうです。

 (この項続く)

撮影機材:R-D1+SUMMARON MLmount 35mm f2.8

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-04-14 03:44 | 言語・文化雑考


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