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2006年 04月 22日
じゃり(砂利) (11)
f0073935_1063495.jpg それでは、『物類称呼』が《小石》の畿内方言とする「ごろた」は、『日葡辞書』ではどのように扱われているでしょうか。

 この辞書の「補遺編」(一六〇四刊)の中に次の記事があります。

 Gorta.l,Gortar.* (ゴラゥタ。または、ゴラゥタラゥ。)
 建築の際に、大きな石の間に入れる砂利、または、小石。

               (岩波書店『邦訳日葡辞書』による)

*(注)ご覧の画面では、見出し語のローマ字綴り3箇所が文字化けして""の形になってしまいます。これは"o"字の上に、長音記号にあたる小さな"v"字を載せたような字形で、中世のころに[au]という母音連続から変化して生まれた長音(開長音)を表す文字です。

『物類称呼』のほうは「ごろた」でしたが、こちらは長音形で「ごらうた」「ごらうたらう」とあって、語形が少し異なります。しかしその語義解説を見れば、両者の指す対象が同じであることは明らかです。



 なお『日葡辞書』に載る語形は、言語使用者の民俗語源解によって、《五郎太》《五郎太郎》のように擬人名化されたものと思われます。また、その名で呼ばれる《砂利》が、建築材料として記述されている点も注目に値します。

 これまで見てきたところによれば、十七世紀初めのころは「じゃり」が江戸の方言であったために、『日葡辞書』に採録されるには至らなかったと考えることができそうです。

(この項続く)

 *撮影機材:R-D1+NOKTON classic SC 40mm f1.4

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-04-22 10:12 | 言語・文化雑考


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