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2006年 04月 25日
じゃり(砂利) (14)
f0073935_342046.jpg 次は、第12回に示した 3)「砂利」 の吟味に移ります。

 この例が『猿蓑』巻四に収める土芳(とほう、どほうとも。1657-1730)の句に出るものであることは、すでに本項第5回に記したとおりです。

 芭蕉に俳諧を学び、師の俳論を体系的に整理した『三冊子』の編者として知られるこの人物は、芭蕉と同じ伊賀上野の生まれ。上野藩に武士として仕えたのち、三十代はじめに引退し、その後は蕉門俳人として風雅に志す生涯を送りました。

 彼は出仕中、藩命を受けて播磨国に長く滞在したことはありましたが、その時期を含めても、終生関西の言語圏に身を置いたことに変わりはありません。



 これもすでに触れたように、この土芳句は師の推賞するところとなったもので、芭蕉の「かるみ」を論ずる上では重要な意味を持つとされる作品ですが、われわれの目下の関心は、そのことよりも、伊賀国に生まれ育った作者の句に、関東の方言から出たと見られる「砂利」がなぜ用いられているのかという点にあります。

 とはいえ、この問題の答案を出すのは、容易なことではありません。

 軽はずみな憶測は控えることにしますが、本例がこれまでに見つかった「砂利」の漢字表記のもっとも早い例である点に、注意すべき要素の一つが含まれているように思われます。

(この項続く)

*撮影機材:R-D1+SUMMARON MLmount 35mm f2.8

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-04-25 04:31 | 言語・文化雑考


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